• マンション・バリューアップ・
    アワード2022
部門賞
  1. 工事・メンテナンス部門
  • コロナ禍での排水管更新工事と
  • 管理組合の積立金会計の健全化
  • コロナ禍での
  • 排水管更新工事と管理組合の
  • 積立金会計の健全化
新田 将 様
  • 株式会社東急コミュニティー
  • 1977年の竣工より築44年を経過し排水管の経年劣化が懸念される状況であった。
  • 内視鏡カメラ等を利用した管内調査をしたところ、排水の詰りや排水の漏れが起きる可能性が非常に高いことが判明いたしました。特に1階床下の埋設排水管については、腐食による破損がみられる状態であった。
  • 排水管で事故が発生すると突然排水が出来なくることや下階への漏水等、生活に大きな支障を来すこともあり理事会および修繕委員会で検討を重ね、計画的に改修工事を行うことで日常の安心・安全を確保する目的で実施に向けて進めることとなる。
  • 共用部の排水管立管は専有部トイレ内および物入内の壁裏にあるパイプスペースを通っており、共用排水管ではあるものの、専有部内への入室が必須であった。
  • その為、コロナ禍の影響もあり専有部入室しての工事について懸念される状況でした。
  • また、2016年(6年前)に耐震補強工事を実施しており、その工事金額を借入している為、排水管改修工事を実施する費用についても工面する必要があった。
  • 本工事においては、共用排水管更新工事をおこなうことにより、排水設備の機能を改善し耐用年数を延ばし、建物環境と資産価値の維持・向上を目的とする。
  • コロナ禍でもあり専有部へ入室して作業をおこなう事の必要性や工事による専有部分の解体および復旧範囲等、居住者への合意形成を得ること。
  • ※復旧範囲については、各住戸においてさまざまな仕上材がある。
  •  例)壁紙、タイル、化粧パネルなど
  • また、資金面では長期修繕計画を見直し、現状借入中の返済計画も併せて改善すること。
  • コロナ禍での排水管更新工事と組合の積立金会計の健全化
  • 既設の共用排水管に使用されている配管用炭素鋼鋼管(SGP)は主に台所、洗面、浴室の系統、排水用鋳鉄管(CIP)はトイレの系統であり、共に2系統の立管としての設備である。
  • 今回の排水管更新工事では耐火性能を有する耐火性硬質ポリ塩化ビニル管を使用し、それぞれ分かれていた2系統を1系統にまとめる集合管を採用した。1系統にすることで施工面、品質面、費用面全てにおいてバリューアップさせた。
  • コロナ禍での工事では、全作業員において毎日2回(朝・昼)の体調管理を実施し発熱や体調不良の有無をチェックシートに記録し工事用掲示板をエレベーターホールに設置し全居住者が確認できる様にした。また、細やかにコミュニケーションを取り、情報共有することで信頼関係を構築する事に努めた。
  • 工事の資金面では、長期修繕計画を見直し、先送りや前倒しする事でまとめて圧縮できる項目を洗い出しを行った。また、耐震化工事での融資返済分について、修繕積立金とスマイル債の解約により繰り上げ返済をし、排水管更新工事は住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を活用した。
  • 写真1
  • マンション排水管更新工事
  • 排水管改修工事の実施について
  • 排水管更新で採用した耐火性能を有する耐火性硬質ポリ塩化ビニル管および集合管システムはを採用することにより施工面、品質面、費用面でのメリットがある。
  • 【施工面】
  • 集合管を採用し1系統に集約することで、専有部内の狭いパイプスペース内でも作業効率がアップした。
  • 【品質面】
  • 国土交通大臣認定を受け耐火性能を有する耐火性硬質ポリ塩化ビニル管を採用し上下階の防火区画貫通部の処理として信頼がある。
  • 【費用面】
  • 耐火性硬質ポリ塩化ビニル管は、高耐食、高耐久、により長期的な使用が可能となり今後の修繕コストが抑えられる。また、防火区画の貫通処理がパイプだけで可能であり防火区画貫通処理材のコストが削減できる。
  • 住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を活用
    通常の返済期間は1~10年だが排水管更新工事は返済期間が最長の20年が適用される。低金利で長期20年返済であり、修繕積立金の一部を返済をしながら修繕金も積立が可能となる
  • ■ 苦労した点・工夫した点
  1. コロナ禍での工事
    苦労した点・工夫した点
    専有部内での作業がありなぜこのコロナ禍で工事をするのかの理解を得ること。 本工事においては理事会の諮問機関として専門委員会を結成した。  工事実施前の計画段階において計画説明会を開催し排水管診断調査した写真や腐食して撤去した配管を活用し現状の状況を周知してもらう事や今後工事を実施しない場合に発生するであろう漏水被害等工事の必要性を理解頂くため居住者への合意形成に努めた。
  2. 積立金会計の健全化
    苦労した点・工夫した点
    2016年に実施した耐震補強工事の残債がある状況で、さらに排水管更新工事で住宅金融支援機構から借入をするため、区分所有者への説明資料として「修繕積立金キャッシュフロー試算表」や「今後の資金計画表」を作成し、管理組合(理事会、修繕委員会)が主体となる様、管理会社としてバックアップに務めた。
  • 居住者の声
  • 今回の工事完工後に以下「感謝状」頂いた。(全文)
  • 株式会社東急コミュニティ― 代表取締役社長 雑賀 克英 殿
  • 貴社はマンションにおける最も困難を極める専有部分を活用しなければ完工できない排水管更新工事においてリフォーム事業部と西日本事業部大阪支店との見事な連携により築44年を迎えるマンション排水管更新工事を完工されました。特に現場を統括されました西日本リフォーム部 新田 将 殿による細やかなご配慮により日を追うごとに管理組合との信頼関係が増し安心の中 工事を進めることが出来ました。ここに深く感謝の意を表します。マンション維持管理には管理組合と管理会社がベストパートナーである事が需要です。今後とも貴社におかれましてはマンションが国民の安定した住まいとなる為に寄与されますことを祈念致します。
  • 令和四年一月二十八日 マンション管理組合 理事長
  • 本件を実施するのに掛かった費用(掛かる費用)
  • 本工事金額:¥102,300,000
    借入金利:0.82%
    返済期間:20年
    返済総額:¥111,120,000
  • 月々の返済金は毎月集められる修繕積立金¥1,185,430-/月から支出
    月額返済金:¥463,000
  • 本件を実施することで削減することが出来た費用
    (出来る費用)
今回の排水管更新工事は計画的に改修箇所、改修方法、資金準備をすることで以下の点について削減(改善)できたと考えます。
  1. 今後の長期修繕計画を立てるうえでより正確な計画で進めることができる。
  2. 排水による事故がおきた場合、経年劣化が原因であればマンションで担保している損害賠償保険の対象外となる。また、応急処置ののち恒久的な工事が必要となり2倍の手間と費用が発生する。
  3. 耐震化工事の残債を繰り上げ返済し、住宅金融支援機構から返済期間最長20年で借入することで低金利により少しでも利息負担を軽減。一部返済に充てるが修繕積立金が積み上る。
※住宅金融支援機構より借入できるのは、今回の排水管更新工事が計画的修繕工事であるからであって、突発的な事故が起きた場合に借入できるとは限らず。事故対応の工事費用が準備できず、区分所有者より一時金を徴収する等も考えられる。
  • 資料1
  • 住居内作業の状況
  • 最終プレゼンテーション資料