佳作
- 防災・防犯部門
- 自主防災機能の強化と居住者が
- 安全・安心に暮らせるマンションづくり
- 自主防災機能の強化と
- 居住者が安全・安心に
- 暮らせるマンションづくり
鍋島 義則 様
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「ローレルコート城北公園通り」は、1999年に建設された分譲マンションで、15階建2棟及び10階建1棟の計3棟で構成されており、計307世帯が居住している。今年で設立23年を迎えた管理組合では、当初から「居住者全員が安心・安全に暮らせるとともに快適な住環境づくり」を目指して、居住者交流のイベント等を定期開催するなどの取り組みを行ってきた。また20名で構成する理事会役員は、就任時にマンションのインフラ施設見学会に参加、施設現況や災害時のリスクを把握した上で、担当業務にあたっていただく仕組みをとっている。2018年台風21号は大阪地区に甚大な被害を発生させたが、当管理組合では平素からの適切な管理運営の成果もあり、最小限の被災で食い止めることができた。しかしながら今後発生が予想される地震・台風等による大規模災害への対処として、施設維持・更なる改善はもとより、居住者の防災意識の一層の向上に継続して取り組みを進めているところである。
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自主防災機能の強化と居住者が安心・安全に暮らせるマンションづくり
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災害時における自助・共助体制の確立
有志により立ち上げられ、その後理事会組織に発展した「自主防災委員会」を中核として、当マンション居住者の災害対策を積極的に進め、万一の際のリスクを最小限に抑える -
ライフラインの確保(今回は「飲料水の確保」がテーマ)
被災時の上水道支障に備え、「飲料水の確保」を最優先課題として、受水槽被災防止及びマンション内受水槽残水の有効利用を図るための改良工事等を実施する
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建設後15年を経た2014年、災害に対する居住者の関心の高まりの中、有志により「自主防災準備委員会」を立ち上げ、防災マニュアルの策定・配付、防災用品の調達等のマンション居住者の防災対策準備を進めた。
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同年、管理規約に「自主防災委員会規約」「自主防災委員会運営規則」を制定し、理事会下部組織としての有志の「自主防災委員会」を設立、以後AEDレンタル設置、要介護・救護者の把握や医療従事者の居住状態を把握することを目的とし世帯台帳の整備等の防災対策を実施した。
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2019年、「自主防災委員会」を理事会組織として再編し、理事会役員も委員に加わり、災害時対応フローチャートの作成等を実施した。
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2020年、水害時に浸水が予想される1階居住者への支援物資備蓄や「理事会だより」(年2回発行)による災害時の対応情報周知により居住者の防災意識を啓蒙した。
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2022年、「地震水害対策検討委員会」を立ち上げ、被災時の対策検討に着手した。8~9月に居住者の防災意識調査アンケートを実施、結果を踏まえ「地震・水害対策についてのステートメント」を定め、具体的対策を検討中である。
- ライフラインの確保(今回は「飲料水の確保」がテーマ)
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2019年、地下ポンプ室内での配管破損に伴う設備機器の浸水被害防止のため、受水槽出口側に緊急遮断弁取付工事を実施した。
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同年、前述の工事により被災時にも受水槽内の残水117㎥を確保できることとなり、断水時の有効利用を図るため、災害時受水槽内水取出しシステム工事を実施した。停電に備え自家発電機を設置するとともに、10ℓの折り畳み式ポリ容器を各戸2袋使用できるよう計700袋をポンプ室内に備蓄している。(3日間は飲料水として使用可)システム使用及び自家発電機運転手順書も写真を活用して誰もが理解しやすいように作成した。平時でも正常なシステム稼働を確認するために、月1回自家発電機によるシステム稼働試験を実施している。
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2021年、被災時の上水道配管破損に伴う設備機器の浸水被害防止のため、受水槽入口側に緊急遮断弁取付工事を、またポンプ室内配管にフレキシブル継手設置工事をそれぞれ実施した。
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管理組合の運営目標である「居住者全員が安心・安全に暮らせるとともに快適な住環境づくり」への寄与
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当マンションは15階建及び10階建の高層マンションで、災害時には在宅避難を推奨されている。万一の場合に電気・ガス・水道等のライフラインの供給が滞った場合でも、最優先で必要とされる飲料水の確保への取り組みを実施するとともに、「理事会だより」で対策の周知を図り、居住者に安心感を与えることができたと考える。
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居住者全員の防災意識の高揚
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本年6月に実施したアンケートでは、非常食の備蓄など既に居住者個々で取り組まれている自助に加えて、管理組合による共助体制の整備を望む声が多かった。これを受けコロナ禍で実施を見送っている防災訓練(安否確認・要救護者の救出・炊き出し・受水槽内水取出しシステムの稼働実地訓練等)の早期再開を目指している。併せてアンケート結果を踏まえて管理組合の防災に関する基本方針として「地震・水害対策についてのステートメント」を制定した。
- 地震・水害対策の検討に関して
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「地震・水害対策検討委員会」立ち上げ当初は、理事間での災害対策に関する認識の差異があり、意思統一に苦労した。
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災害時における受水槽内の水取出しシステム構築に関して
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災害時のパニック状態の中、実践的訓練さえ受けていれば、手順書に従い簡単・迅速に可能で、確実な効果が期待できる低コストなシステムを構築するよう工夫した。
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設置後に維持管理が容易なシステムを構築するよう工夫するとともに、平時の補給品更新、定期給水試験実施についても考慮した。
- 理事会活動、自主防災活動を、年2回発行の「理事会だより」に掲載、活動内容がよく分かると共に、文字の羅列ではなくビジュアル化しているため捨て難くファイリングして保管している。
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災害時における受水槽内の水取り出しシステムがあることを知らなかったが、「理事会だより」で紹介してもらい、理解するとともに安心した。
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地震・水害対策の検討を積極的に進めてもらい、何時起こるかわからない災害に備えた対応を1日も早く実施し、災害時も安心なマンションを形成してほしい。
- 受水槽出口側緊急遮断弁取付工事費 2,310,000円
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災害時受水槽内水取出しシステム工事費 749,520円
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受水槽入口側緊急遮断弁取付工事費 2,145,000円
- 本件を実施することで削減することが出来た費用
(出来る費用)
- なし
(ただし水害によりポンプ室が被災した場合に必要となるポンプ室の復旧工事および長期にわたる復旧期間中の給水にかかる多額の費用支出が抑えられるものと考えている。)