• マンション・バリューアップ・
    アワード2022
部門賞
  1. マンション管理
    適正評価部門
  • マンション管理適正評価
  • ★5獲得へ向けた取組状況
島﨑 齊 様
  • シャルム浦安管理組合支援委員会
  • 当マンションは、1980 年 8 月に竣工した築 42 年の中古マンションです。建物自体は、今までの管理会社と管理組合理事会のご尽力により、良好な状態にあります。新基準に基づいた耐震診断の結果も問題ないことが証明されました。このような建物の良好な状態を持続的に維持するために必要不可欠な要素は管理組合の活性化です。これを実現するため、PCM という参加型ワークショップを開催し、必要な活動を抽出しました。これらの活動をもとに、長期計画であるビジョン 2050 を策定し、実施に入りました。このビジョン 2050 で取り上げられている活動の一つとして、「資産価値向上活動」があります。この活動は、当マンションが中古物件としての競争力を維持、もしくは高めるために有効かつ必要な要素です。視点を変えれば、居住者の方々の共通の目的とも言え、一丸となって対応することが期待出来るインセンティブです。支援委員会は、この活動を推進する核となるのは、2022 年 6 月に発令された「マンション管理適正評価制度」の★5 を取得することと位置付け、管理組合理事会とともに取得に向かって必要な作業に着手することにしました。
  • 当マンションの資産価値の維持・向上を目的として、「マンション管理適正評価制度」での★5 の取得を目指した対応策の実施。
  • 上記目標を達成するため、評価項目による予備評価作業を通じて必要作業項目の洗い出し。
  • 管理会社の支援下で、現管理状況に対し評価項目ごとに実施した予備評価結果を下表に示します。
  • 上表で明らかなように、適正な管理状況に対し欠けているのは、① 管理規約の改定と② 防災・減災活動計画の作成です。これらの作業を完遂すれば、「マンション管理適正評価制度」の★5 を取得することが可能と考え、作業に入りました。採用した対処方策及び実施状況を以下に述べます。
  • 限られた時間枠の中で、管理組合規約改定作業を効率良く遂行するため、基本構想の策定。(詳細は添付資料-1 を参照)
  • 管理組合規約改定の作業を円滑に進めるため、① 基本方針、② 実施体制、③ 作業スケジュールを明確にした基本構想を下記のように策定しました。
  1. 基本方針
    既存の規約を国交省の標準管理組合規約に準拠した管理会社所有の管理組合規約(以降、標準規約)を軸として、当マンションが過去 40 年間の経験を踏まえ、現在直面している二つの課題(居住者の高齢化と建物老朽化)への対応、さらに居住者の今後の快適なマンション生活の構築及びマンションの資産価値維持・向上の視点から規約改定を行うことを基本方針とする。
  2. 実施体制
    改定作業の効率化を図るため、規約改定作業グループを核とした管理規約改定作業委員会を設置。
  3. 作業スケジュール
    作業は2022年4月から2023年の11月までの20カ月で、作業スケジュールを下図に示します。
  • 添付資料1
  • 防災・減災活動を円滑に実施するため、当マンションを取り巻く社会環境と自然環境を考慮した防災・減災活動実施計画の作成。(詳細は添付資料-2 を参照)
  • 防災・減災活動の指針となる「防災・減災活動実施計画」は、以下の事項のもと作成しています。
  1. 防災・減災活動の目的
    防災・減災活動の目的は、当マンションに住む居住者が自然災害および社会災害に対し、安心して暮らせる環境を構築し、かつ維持することです。
  2. 防災・減災活動の基本方針
    当マンションの防災活動を適切に、かつ円滑に行うため、基本方針を以下のように定めました。
  1. 基本方針 1: 効果に注視した実践的な活動・減災方法の採用
  2. 基本方針 2: 持続可能な活動・減災活動を目指し、当マンションの特性を反映
  3. 基本方針 3: 幅広い情報を収集・適用するため関連機関との密なる連携
  4. 基本方針 4: 段階的作業方法の適用
上表に記載されている「基本方針-4:段階的作業方法」とは、活動に関する作業量が多いことを考慮して、下表に示す方法を適用することにしました。
  1. 防災・減災活動の実施体制
    防災・減災活動の実施体制は、段階的作業に伴い2本立てとします。即ち、①実施体制-1: 関連資料・情報の収集・分析にもとづく防災・減災活動実施計画と手引きの作成及び②実施体制-2: 防災・減災活動の本格的実施です。
  2. 作業スケジュール
    2022 年 6 月から防災・減災活動作業を開始し、2023 年 10 月までに防災・減災活動実施計画及び手引き(案)を作成し、翌月の総会で承認後、本格的活動に入る計画です。
  • 添付資料2
  • 成果1
  • 上述のように、「マンション管理適正評価制度」への正式な申請は、★5 の取得に必要な2つの小活動である「管理組合新規約」と「防災・減災活動実施計画」の総会での承認(2023 年 11 月)を持って、行う予定としています。従い、現時点(2022 年 10 月)では、これらの小活動の結果としての「マンション管理適正評価制度」での★5 の取得が出来たとの報告は残念ながら出来ません。しかしながら、下図に見られるように、これらの小活動は、長期計画であるビジョン 2050 の枠組みの中で取り上げられた目標に向かって着実に実施しており、この結果として、ステップごとの「結果/成果」を成し遂げています。即ち、これらの小活動を効率良く実施するために、ステップ3 では作業の「結果/成果」として「評価制度の★5取得という目標」があり、ステップ 4 のそれでは、評価制度の★5を取得するために管理現況の予備的評価を通じて欠落項目(規約過程と「防災・減災活動」)を明らかにしていること、そしてステップ 5 のそれは、これらの 2 つの欠落項目を如何に検討・実施していくかを明確にし、且つ効率の良い作業をするため、作業目的、基本方針、作業スケジュール等を包含した「基本構想」あるいは「企画案」を事前に作成にしていることです。この観点からすれば、現時点(2022 年 10 月)で、ステップ 3 からステップ 5 までの結果/成果を達成していると報告出来ます。
  • 別紙1
  • 別紙2
  • 成果2
  • 防災・災害対策の基礎資料である、地方自治体作成の地震マップ及び水害ハザードマップをもとに、当マンションの居住者の便宜を考慮して、当マンションの位置を明確にすると同時に関連説明を付記しました。非常時に備え、誰もが見れるように、この災害想定マップは玄関エントランスの壁に掲示されています。
  • ■ 苦労した点・工夫した点
  • 「マンション管理適正評価制度」での★5 の取得するため、実施している小活動「管理組合規約改定作業」と「防災・減災活動実施計画作成作業(防災・減災活動手引きも含む)」において工夫した点は以下のとおりです。
  1. 管理組合規改定作業
    居住者への参加依頼
    管理組合の規約は、居住者の良好な住環境を構築するために必要不可欠なものです。従い、管理組合規約改定委員会は、「居住者ファースト」を念頭に置き、規約改定作業への参加や意見を文書にて頻繁にお願いしてます。その結果、複数の居住者の方が参加してくれることになりました。
    効率的な改定作業
    標準規約によれば、60 条以上の規約があります。このような多くの規約の検討を限られた時間内に効率良く実施するため、下図に示すような色分け作業(要旨)で対応することとしました。この方法を適用した理由は、「容易な規約から手を付けていき、難解な規約は時間をかけて検討するため後回しにする。そして出来るだけ早い段階に全体像を把握し、その視点からも規約を調整し、最終化する」ことです。その結果、規約改定作業が順調に進んでいます。色分けによる規約改定作業のサンプルシートを添付資料-3に示します。
  • 添付資料3
  1. 防災・減災活動実施計画及び手引きの作成(詳細は、それぞれ添付資料-4 と-5 を参照)
    実際に被害を受けた教訓からの関連資料の有効活用
    現在、不幸にも災害を被った地域の自治体や関連団体から、多くの防災や減災に関わるマニュアルなどの関連資料が発刊されています。これらの関連資料は、教訓に基づいたものゆえ、実践的で非常に役立つものです。これを踏まえ、今回策定するは防災・減災実施計画や手引きは、これらの関連資料から当マンションに関係するものを選択し、紹介することにしました。さらに、関連自治体や関連機関の承諾のもと、実際の防災・減災活動では選択した関連資料、即ちマニュアルを積極的に活用させて頂くことにしました。
    関連機関・団体からの情報を網羅した実施計画及び手引きの作成
    防災・減災活動に関して、国土交通省、厚生労働省及び地方自治体が多くの情報を適宜発信しています。常日頃からこれらの情報を適時に把握することが望ましいと考えますが、難しいのが現状です。従い、当防災・減災実施計画では、発信された情報の内容を吟味し、そのうち重要と思われる情報の要旨と出典を明記し、必要時に容易にアクセス出来るようにしました。
管理組合規約改定委員会
防災備品の一部
  • 添付資料4
  • 添付資料5
  • 居住者の声
  • 本件の活動は、未だ進行中です。しかしながら、進行中においても居住者から下記ような声が聞こえています。
  • 「マンション管理適正評価制度」の★5取得
  • これを取得してマンションの資産価値が上がるならば、是非取得すべきである。
  • 「この評価制度の★5取得」した場合、不動産販売会社が販売広告に載せてくれたらいいね。
  • 管理組合規約改定作業
  • 過去 40 余年間に複数の追加規約があり、纏める必要があったので良い機会と考える。
  • 社会環境も色々と変わり、それに合った規約が必要だと思う。
  • 修整・改定に容易な電子ファイルでの規約が必要な時期ゆえ、規約改定は良い機会でしょう。
  • 防災・減災活動実施計画及び手引きの作成
  • 居住者の半数近くが高齢者であることを考えれば、このような対応が必然だと思う。
  • 最近の気候変動による豪雨や大規模地震の発生の可能性及び当マンションの立地状況を考えるならば、防災・減災活動は不可避だ。
  • 本件を実施するのに掛かった費用(掛かる費用)
  • 当マンションの方針の一つである「自助努力」のもとで、「マンション管理適正評価制度」の★5取得に向けて、管理組合規約改訂作業と防災・減災活動実施計画作成作業は、有志により行われています。もし、これらの作業を外注したら、以下のように 3 百万円位かかると推算されます。
    管理組合規約改定作業
    このような作業の費用をインターネットで調べたところ、少なくとも百万円が必要とのことです。
    防災・減災活動実施計画と防災・減災活動手引きの作成
    資料収集から実施計画と手引き作成まで含め、2 百万円位(=百万/月 x 2 カ月)が必要と推算します。
  • 本件を実施することで削減することが出来た費用(出来る費用)
  • 前項(7)で述べたように、本件を外部雇用により行えば、雇用費として 3 百万円近くがかかると推測され、この金額が削減されたと考えます。さらに以下の不可算な便益を期待出来ます。
  • 自助努力の便益
  • 本件は、「自助努力」のもと、有志で実施しています。これは、上述の費用削減抜加え、非常に大きな便益を管理組合にもたらします。例えば、規約改定作業の場合ですが、自分達の手で、頭を突き合わせながら行った作業の結果、改定された規約の内容が深く認識・記憶され、それが後の管理組合の運営に反映出来ます。このことは携わった有志複数に言えることです。一方、外注すれば、費用対効果として労なくして成果品を手に入れることが可能ですが、「改定された規約」の内容把握に更なる努力が求められる結果、往々にしておろそかにされがちです。自分達の手で作成することの意義は多大です。
  • 系統だった対応方法の効果
  • 今回の作業は未だ途中ですが、重要な教訓を得ています。即ち、課せられた作業に対し、上述したような整然とした対応方法は、「行き当たりばったりの対応」と異なり、作業を実施している方々の安心感や満足感が得られると同時に、居住者の方々の信頼を得ることが出来るということです。従い、今後このような長期的な作業を実施する場合は、目標を的確に定め、それに向けてすべきこと、さらに如何にすべきかの方法等を明確にするような対応が必要不可欠であるという教訓を得ました。
  • 最終プレゼンテーション資料
  • 別紙1
  • 別紙2