• マンション・バリューアップ・
    アワード2022
審査員特別賞
  1. マンションライフ・シニアライフ部門
  • 子供たちやお年寄りの方々が
  • 安心して生活できる環境づくり
米藤 健太 様
  • 株式会社東急コミュニティー
  • アクレスティ南千住は、2010年1月に南千住地区再開発事業により建造された「特定用途複合建物」である。JR常磐線、つくばエクスプレス線、東京メトロ日比谷線「南千住駅」西口に位置し、住宅、商業施設、公益施設(荒川区)により構成されている建物には、近隣住民及び公共交通機関を利用する乗客等、日々沢山の来訪者が訪れる、南千住地域のランドマーク的建物である。
    しかし建物の用途及び立地上、建物来訪者や、通勤・通学で駅を利用する方々が建物敷地内に自転車を駐輪するなど、常時100台近くの違法駐輪があった。膨大な数の違法駐輪に対し、建物来訪者及び近隣住民より、「自転車が邪魔で目的地までたどり着けない」「自転車が倒れてきて、子供がぶつかりそうになった」等の、人的被害につながる恐れもある状況であった。また膨大な違法駐輪の影響か来訪者のマナーの低下を招き、ごみのポイ捨て(放置)や、敷地内での酒盛り、寝泊まり等も発生しており、建物の景観及び安全性を著しく損ねているような状況であった。それらの対策の為、シルバー人材センターの職員を派遣し対応を行わせたり、管理員及び警備員による巡回及び警告等も行ったが、違法駐輪等を防ぐ抜本的な対策には至らなかった。
  • 資料
  • 建物敷地内の違法駐輪を減らし、整理整頓された建物環境としたい。
  • 建物居住者及び近隣住民の方々が安心して生活できる住環境を整えたい。
  • 地域にとって「この建物があってよかった」と思われる環境整備に努めたい。
  • 建物の管理状況が周辺地域に波及し、安心安全な街づくりにつながることを目的としたい。
  • 発想の転換による違法駐輪対策
  • 建物の環境悪化の諸悪の根源は、建物敷地内の違法駐輪にあると考えた。違法駐輪を限りなく減少させ、清潔な建物環境とすることが、建物来訪者のマナーの向上、敷地内での迷惑行為の撲滅に繋がると考えた。しかし、いくら違法駐輪を取り締まってもイタチごっこで、労力とコストは際限なくかかってしまう。
  • そこで管理会社が提案したのは、発想を変えて「敷地内に駐輪させても良い環境を整備しましょう」というものである。つまり、「違法駐輪を違法ではない駐輪に変える」という、発想の転換である。
  • 具体的には、違法駐輪が多くある箇所に有料駐輪場設備を設け、利用いただくというものである。また、設備の維持管理は管理組合が行うのではなく、第3者に行わせるのが労力もコストも少ないと判断し、建物敷地内の一部を駐輪場設備の管理・運営会社に賃貸し、その会社の責任と負担で、駐輪場の管理・運営を行うことを委託することとした。
  • 防犯カメラシステムの機能向上による、マナー違反者への注意喚起
  • 駐輪場設備を敷地内に設け運営しても、設備から離れた個所に違法駐輪する方もいる。その都度、管理員や警備員が当該箇所を赴き、違法駐輪の敷地外への撤去、警告などを行っていた。しかしこれも労力とコストがかかることから、現場に赴かない方法で警告が出来ないか考えた。また、ゴミの放置や敷地内での飲食寝泊まりをされる方が少なからずいたことから、その為の施策が必要とも考えた。そこで管理会社が提案したのは、当該箇所に最新の防犯カメラとスピーカーを設置すること。このカメラは人の動きに感知し映像が画面上にポップアップされ拡大画面で表示されるのだが、違法駐輪や不審者を確認後、カメラ横に設置したスピーカーから注意喚起の音声を自動放送。これにより遠隔で、ボタン一つで注意喚起を行うことができ、人員が際限なく現場に赴くことの労力とコストを大きく削減した。
  • 写真1
  • 敷地の一部を駐輪場運営会社に賃貸し、駐輪場経営を行っていただくことで、違法駐輪をされていた方はその駐輪場を利用するようになった。これにより、以前と比較し90%以上違法駐輪が減少した。
  • また残りの10%程の違法駐輪は、防犯カメラでの遠隔監視とスピーカーからの注意喚起の自動音声放送により、違法駐輪を阻止。
  • 違法駐輪が減少したことにより、建物敷地内が整理整頓され、それに伴いゴミの放置や部外者の侵入も減少した。
  • その結果、建物敷地全体の景観が清潔なものとなり、建物居住者及び近隣住民等の来訪者が安心安全に生活できる住環境を構築することができた。
  • また敷地内の一部を駐輪設備運営会社に賃貸したことで、月額12万円程の賃料収入を得ることができ、管理組合収入向上に繋がった。
  • ■ 苦労した点・工夫した点
  • 違法駐輪の都度注意喚起を行うという当座の対応を行っていたものの、抜本的な対応策を熟考した中で、ひらめきにより発想の転換ができた。知恵と工夫が、マンションの環境を大きく変えるという良い事例となった。
  • 居住者の声
  1. 建物内で飲食店を営んでいるが、これまで違法駐輪が多く通行の妨げになっていたため、お客様がお店にたどり着けないことが多々あった。
  2. 以前は強風で自転車がドミノのように倒れてきて危険な思いを沢山したが、今は違法駐輪がすっかり無くなり、安心して建物を訪れることができる。
  3. 建物の雰囲気がとても明るくなった。
  • 本件を実施するのに掛かった費用(掛かる費用)
  • 0円。
  • 本件を実施することで削減することが出来た費用
    (出来る費用)
  1. シルバー人材センター職員の人件費月額約15万円(一日5時間勤務×月の日数)
  2. 管理員及び警備員の対応にかかる人件費月額約9万円(一日3時間対応×月の日数)
  • 資料1
  • 資料2
  • 資料3
  • 【結果報告】管理員は管理組合が守る!
  • 【イメージ写真】管理員は管理組合が守る!