• マンション・バリューアップ・
    アワード2022
部門賞
  1. マンションライフ・
    シニアライフ部門
  • ご近所見守り隊の設立
  • ~世代間の垣根を超えた
  • マンション内コミュニティ~
加藤 敬一 様
  • 株式会社長谷工コミュニティ
  • 私がフロントとして担当する築40年弱のマンションでは、総戸数30戸と小規模でありながら、建物の老朽化だけではなく居住者の高齢化が顕著であり、いわゆる独居高齢者が多くお住まいです。昨今、ニュース等でも独居高齢者の孤独死等が話題になることも多く、災害時の安否確認や避難に課題が残り、管理組合として何か対策を取ることができないかとフロント担当者の私へ相談いただきました。
  • 管理会社任せではなく、居住者間で世代を超えた強固なコミュニティを構築し、全員で高齢者を見守ることができるマンションにすることが目的でした。
  • ご近所見守り隊の設立
  • 理事会よりフロント担当者である私に相談があった際、不本意ながらも、管理委託契約に定める管理会社としての業務の中では、随時ご高齢者を見守りながら有事の際に適切な対応を取ることは難しい旨を正直に伝え、業者任せではなく居住者の皆様同士が協力しあいながら高齢者を見守ることができる体制を構築することについて提案し、検討をお手伝いすることとなりました。 但し、管理組合理事が何らかの形で高齢者を見守るというような手法では、一部の方々に負担が偏ることや、輪番制による理事の改選により引き継ぎがうまく行われないといった懸念があることから、何か妙案はないかと掲示板で居住者へ趣旨を説明し、アイデアを募ることとなりました。 私を含め理事の皆様も、そう簡単に良いアイデアは出ないであろうと正直あまり期待はしていなかったのですが、結果、想定外にも大人ではなく有志の高校生数名より、『自分たちにも何かできることがあれば協力したい』との申し出がありました。恥ずかしながら、私達は無意識のうちに大人の居住者に対しアイデアを募っておりましたが、これは嬉しい誤算でした。 早速、協力をお申し出いただいた高校生へ理事会に出席していただき協議した結果、有志の学生が、希望される高齢者を学校帰りに定期訪問して様子を伺う『ご近所見守り隊』を、保護者の皆様の理解を得て理事会の下部に組織することとなりました。
  • ご近所見守り隊の設立
  • 最初は2名から始まった組織の輪が徐々に広がり、今では5名の中高生が合計6名のお年寄りを見守っております。見守りを受ける側の高齢者からは当初、『昔は廊下を走り回っていた子供たちを叱りつける立場だったのに、まさかその子たちに面倒を見てもらうとは面目ない…』といった意見もありましたが、今では子どもの良き相談相手になり、見守りついでに子供部屋を持たない学生に対し自宅を勉強スペースとして提供する方もおられ、このような関係性の構築は私たち業者には決してできないご近所付き合いならではの利点であると思います。 また、子どもたちの活動に影響を受けた大人も徐々に活動へ協力いただけるようになり、これまでは管理組合運営に無関心だった方々と理事会の繋がりが深まり、大規模修繕工事専門員会に参加していただくなど、子供たちの発想から生まれたコミュニティが管理組合運営を大きく動かす結果となりました。
  • ■ 苦労した点・工夫した点
  • 管理会社、理事会としての苦労はほとんどなく、子供たちの柔軟な発想や高齢者を大切にしたいと言った気持ちに先導され実現に至りました。なお、昨今、高齢者を対象とした詐欺や犯罪に関するニュース等も多い中、メンバーには見守り隊の一員である証として管理組合の腕章を貸与し、活動中は必ず身に付けることを徹底するようお願いしておりますが、大半の方々が顔見知りであるといった小規模マンションであるからこその利点が成功の要素であったと考えております。
  • 居住者の声
  • 見守られる高齢者の方々からは、『見守り隊が訪問してくれる時間が一番の楽しみだ』と仰る方もおり、見守り隊のメンバーを自身の孫のように可愛がっている方が多いです。 管理組合理事の皆様も、若い世代がこれだけしっかりしてくれているのであれば、当マンションの将来も安心であるといった声も聞いております。
  • 本件を実施するのに掛かった費用(掛かる費用)
  • 本件を実施することで削減することが出来た費用
    (出来る費用)
  • 最終プレゼンテーション資料