• マンション・バリューアップ・
    アワード2021
佳作
  1. マンションライフ・
    シニアライフ部門
  • 専用庭物置に住む
  • 野良猫対策
西村 美早子 様
  • 大和ライフネクスト株式会社 マンション事業本部
  • 関西第一支社 京都第一支店
  • 築30年超の京都の観光地に建つ趣のあるマンションでの出来事です。
  • 専用庭に置かれていた物置の中に野良猫が巣を作り、どんどん繁殖してしまい、マンション住人から「鳴き声がうるさい」、「イタチが赤ちゃん野良猫を襲う」、「野良猫が来ないように対応をして欲しい」「専用庭が汚すぎて不衛生なので対応して欲しい」「資産価値が下がる」とのご要望がありました。
  • そもそも該当住戸は、外部居住の区分所有者で長期間空室となっており、専用庭には雑草が生い茂り、物置の扉は壊れ、隙間からペットボトルが詰まった袋や段ボール箱の山が見えている荒れた状態でした。
  • 数年前の一時期、区分所有者が該当住戸に住まれたのですが、すぐに連絡もなしに出て行かれ、また空室となっていました。
  • 該当の区分所有者へ連絡を取るため、ご登録の住所へ対応依頼文書を郵送するも宛先不明で郵便物が戻ってくる状態であり、また、ろうあ者であり、電話番号登録もない状態でした。
  • 緊急連絡先としてご登録のご家族住所も宛先不明、電話番号も現在使われておりませんという四面楚歌状態となり、ダメもとでマンションの郵便受けに対応依頼文書を投函していました。
  • 理事会でも事態を共有し、壊れた物置の扉から野良猫が中へ入り巣を作っていると考えられることから、壊れた物置を撤去しようとの意見が出ましたが、強靭に立ちはだかる「所有権」という権利を前に、手も足も出ない状態でした。
  • 所有者と連絡がとれない限り、撤去はもちろん、壊れた物置の扉を閉めるために専用庭に立ち入ることすら出来ないという事態に悶々としていたところ、管理員の水道メーター検針により、マンションに誰かが居住していることが判明しました。
  • そこで、壊れた物置が野良猫の巣となり大変困っていること、専用庭の雑草も生い茂り、衛生面から近隣住戸へ多大な迷惑がかかっている状態であること、解決のために管理組合としてお手伝いする意思をお伝えし、具体策として、専用庭へ立ち入り、物置扉を閉めること、また物置撤去にかかる費用面・作業面でも協力する旨の文書をお渡ししたのです。
  • 実は、長期滞納者であった過去の経緯もあり、理事会で協議頂き、管理組合で費用を負担するとの提案としたのです。
  • これで、ようやく全て上手くいくと思ったのですが、所有者からのお返事は「専用庭の立ち入りと物置扉を閉めることには協力するが、撤去はしない。これからも使います。」とのお返事でした。
  • とはいえ、専用庭に入れるチャンスが巡って来たので、目的は「壊れた物置の扉を閉めて、野良猫の侵入を防ぐ」とし、裏目的として、「専用庭の雑草処理と物置内のゴミ撤去を勧める」としました。
  • いざ出陣!!
  • 約束をした当日、マンション担当者である私、管理員、サポートスタッフの4人で訪問しました。玄関からの入室を許可頂いていたので、お部屋を通過していくこととなったのですが、やはり、想定以上のいわゆるゴミ屋敷でした。しかし、目的はお部屋の中ではありません。あくまで専用庭の物置の壊れた扉を閉めること。靴を手に持ち、玄関から一直線に専用庭へと出ました。物置を間近で見ると、中には物がパンパンに詰まり、その重さで扉が湾曲している状態でした。同行の二人が、扉を閉めようと試みましたが、びくともしません。中の物を少し出してから閉めようとなんとか扉を開けたところ、高く積まれた段ボール箱と、ペットボトルやカップ麺容器のゴミ袋の山がそこにありました。ただ不思議なことに、全く臭いがありません。よく見ると、綺麗に洗って袋に詰められていました。
  • そこからがひと悶着。筆談で会話を続けていたのですが、「ゴミではない。臭いはない。捨てない。約束が違う。扉を閉めるだけという了承のもと入室を許可した。」との猛反撃を受け、一般的には「ゴミ」に分類される物の山を捨てる許可が出ないのです。物置の中から専用庭へ移動しただけでは、「物置の扉を閉める」目的は達成できても、「不衛生の改善」は、却って悪い事態へと陥ってしまいます。
  • 実はこの数日前、ご自身で雑草を除去しようと思われたのか、専用庭に火を点けられたのです。近隣含め大騒ぎとなりました。幸いボヤで済んだのですが、慎重に筆談による説得を続けました。ようやく近隣の方への迷惑になることは本望ではないとのことで、一つずつ「捨てる/捨てない」を確認しながら、梅雨の蒸し暑さの中、汗だくで作業を進めたのです。
  • 安否確認ステッカーの
  • 配布について
  • 「捨てる」許可が出た物を詰めたゴミ袋の山が新たに専用庭の端にでき、「捨てない」と判断された物はお部屋の中に運ばれていき、無事に物置の扉を閉めることが出来ました。 専用庭の新たなゴミ袋の山について、ゴミ収集日にゴミとして必ず出すという約束を取り付け、長時間に及んだその日の作業は終了となりました。
  • 管理員からの報告では、ゴミの日に分割しながら大量のゴミ袋が出され、その後も、空の段ボールが次々と出される光景を目にすることとなり、段ボール箱はおよそ50箱にも及んだようです。おそらく、段ボール箱が天井まで積みあがっていたお部屋の中も、片付けを始められたのではないかと想定しています。
  • 弊社メンバー4人とともに、ご本人様も汗だくで、ともに「要るもの/要らないものの分別作業」を行ったことが、ご本人様の意識を変えたのかも知れません。
  • 暫く後、ガス会社から連絡がありました。今までお部屋のガス契約をされていなかったようで、ガスの新規開栓申し込みとガス警報器設置のお申込みがありましたとのことでした。 また、新たに始まっていた滞納も、今ではすっかり解消されているのです。
  • ■ 苦労した点・工夫した点
  • このような事例は、マンション担当者となり、初めての経験でした。ろうあ者と筆談を通してこちらの思いを伝える難しさを痛感しました。
  • ご本人様のお言葉でとても印象深く心に刺さったのが、「障害者はいつも馬鹿にされる」「社会的弱者に世間は冷たい」「あなたやあなたの会社が信用出来るか分からない」。
  • このお気持ちに対し、どうやって筆談を通してご本人様の心を解きほぐし、信頼を得て、協力を仰ぐことが出来るのか。
  • 一つ一つの作業に説明を行い、メンバーみんなで汗だくで黙々とゴミの分別をし、態度で誠意を見せました。
  • また、「あなたの味方です。マンション住人様も、みんなあなたのお手伝いをしたいと心から思っています。」と何度も何度も筆談で訴え続けました。
  • それにより、少しづつ心をほぐすことが出来、信用を得れたのかも知れません。
  • 居住者の声
  • 綺麗になった専用庭と物置、また、文化的な生活を開始され、滞納も解消した所有者様の状況を理事会へご報告したところ、「本当にありがとう。銭湯代にビール代もつけるよ!」と、感謝していただきました。お住まいの方からも、「本当にありがとうございました。私ならあそこまで一緒に清掃出来ないです。」とも言われました。
  • また、ボヤ騒ぎもありましたので、近隣住戸の方からマンション住人の方へ、「管理会社の人達が一生懸命掃除してたよ」と、嬉しいお知らせもいただいたようでした。
  • いわゆるゴミ屋敷問題は、そのマンションだけでなく、近隣住戸も巻き込んでしまいます。マンションの資産価値にも大きく影響を及ぼす問題です。
  • 今回は成功事例となりましたが、ここまで大変なことになるとは、正直想定していませんでした。メンバーと力を合わせ解決することができ、本当に良かったと安堵しています。
  • お住まいの方からの感謝の言葉、また、ご本人様の生活に変化をもたらすことが出来たことは本当に大きな喜びとなりました。
  • 本件を実施するのに掛かった費用(掛かる費用)
  • 本件を実施することで削減することが出来た費用
    (出来る費用)
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